10月4日(月)から10日(日)までの7日間、本学と三菱地所株式会社による「藝大アーツイン丸の内2021」が開催されました。本イベントは、次代を担う新鋭のアーティストを支援するとともに、東京?丸の内を訪れた方々に直に芸術を楽しんでいただく場です。15回目を迎える今回は「アートワクチン? ep.2」をテーマに、アート作品の展示やリサイタル、オークション等、見て、聴いて楽しめるプログラムの数々が行われました。
イベント情報
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イベントの一部をご紹介します。
◆オープニングセレモニー
◆三菱地所賞受賞記念インタビュー
◆GEIDAI JAZZ①?MALTAジャズカルテット
◆「アートワクチン?」オーディション
◆「芸術の新素材」
◆邦楽③づーま2021「眠童廓夢噺」
◆COI拠点インクルーシブアーツ研究グループ研究発表「だれでもピアノ?ワークショップ」
◆学生企画 特別ステージ 作曲科×デザイン科×日本舞踊 「東山魁夷の世界―緑響く―」
◆第6回 母学会議「母学とAIゆりかご」、 「母学コンサート」
◆「第1回地球をおもろくする会」吉本興業@藝大アーツイン丸の内
◆川嶋 志乃舞 (CHiLi GiRL) – feat. 和久井 沙良 ストリートパフォーマンス
◆藝大オークション2021
台風一過の秋晴れの中、10月4日13:00よりオープニングセレモニーが行われました。
はじめに三菱地所株式会社吉田淳一社長と澤和樹学長が声高らかに開会を宣言し、両者によるオープニングトーク、そして澤学長(Vn.)と蓼沼恵美子氏(Pf.)による特別コンサートへと続きました。また、澤学長から、演奏曲目の選曲理由や音楽がもたらす効果?役割についての解説もあり、会場全体が「癒やし」に包まれました。
[演奏曲目]バッハ『G線上のアリア』、クライスラー『愛の悲しみ』、同『愛の喜び』
藝大アーツイン丸の内2021総合プロデューサー?東京藝術大学COI拠点伊東順二特任教授(中央左)、
吉田淳一社長(中央)、澤和樹学長(中央右)
〈音楽部門受賞者〉(左から)紀野洋孝さん、飯塚健之介さん、
荒井里桜さん、堤華奈さん、木村善明さん、譜久島彰さん
伊東特任教授(中央左)、吉田社長(中央)、澤学長(中央右)
〈美術部門受賞者〉(左から)岩城花歩さん、齋藤圭一郎さん、佐藤有花?さん、
城?みなみさん、中澤瑞季さん、中?愛美? さん
三菱地所賞とは 三菱地所株式会社が東京藝術大学?を卒業した若い芸術家を支援するために平成20年に設立。?美術部門は?美術学部の卒業?修了作品展に出品された作品の中から特に優秀な作品の制作者に、音楽部門は音楽学部?大学院音楽研究科を優秀な成績で卒業した学生の中から特に優れた演奏者に授与されます。 |
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〈美術部門〉
岩田広己美術学部工芸科准教授の司会進行で、三菱地所賞を受賞した6名の方に、作品解説や見どころついて語っていただきました。イベント期間中は、丸ビル1F丸キューブおよび丸ビル3F?回廊にて三菱地所賞美術部門を受賞した作品が展示されました。
佐藤 有花?「森を泳ぐ」
岩城 花歩「ソーシャル ディス ダンス」
中澤 瑞季「①「ForestⅠ」 ②「ForestⅡ」」
齋藤 圭一郎「Re objects-目口目」
中? 愛美?「夢の肖像」
城? みなみ「Pixelated Landscape」
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?〈音楽部門〉
澤学長の司会進行で、三菱地所賞を受賞した6名の方に、イベント期間中に7F丸ビルホールにて行われるリサイタルの見どころや選曲理由について語っていただきました。
出演:MALTA(Sax.)、三木 成能(Pf.)、ジーン 重村(Dr.)、吉田 豊(Bs.)
日本ジャズ界を牽引し続けているサクソフォン奏者のMALTA氏による演奏が行われました。
JAZZ特有の音の強弱や弾けるリズムに、マルキューブを行き交う人々は足を止め、演奏に聴き入りました。プログラムが終わるとアンコールの拍手が鳴り響き、最高の盛り上がりでオープニングの1日目を終えました。
コロナ後の社会を強く支える次世代のアーチストとそのプロジェクト発掘?発信企画として、「アートワクチン?」オーディションが行われ、その受賞作品が公開されました。「アートワクチン」をテーマに、多くの人々の心が痛みを感じたこのような時代に、「心のワクチン」となりうるアートの表現が募集され、応募企画の中から実施作品(審査員賞)が選出されました。
秋元 康賞「なんか、」
烏田 鈴渚 美術学部先端芸術表現科1年
心に沁みるシャンソンの歌声と映像に、会場はしっとりとした雰囲気に包まれました。
烏田 鈴渚(Vo.)杉田 碧(Pf.)
舘鼻 則孝賞「苺?葡萄?西瓜」
中居 瑞菜子 大学院美術研究科工芸専攻漆芸領域1年
中居瑞菜子さんのプレゼンテーションでは、漆の特性や、中居さんが制作に取り入れている技法「脱活乾漆技法」についても解説していただきました。受賞作品の「苺?葡萄?西瓜」は、「ポップな感じに仕上げ、色とりどりのフルーツたちを見る人たちにポジティブな気分になってもらえたらいいな」という思いで制作されたとのこと。
審査員の舘鼻 則孝氏が会場に駆けつけ、作家として活動していく上でのアドバイス等をいただきました。
芸術の分野において、高機能かつサステイナブルな新素材がどのように取り入れられているかが紹介されました。ひとつ目はヴァイオリンの弓で、従来の木製の弓と特別な弓を用いた演奏を聞き比べていただきました。
2つ目は、三菱ケミカルの「ソアロン?」という繊維。絹と似たような質感で発色もよく、水洗いができるという半合成繊維トリアセテートです。そのソアロンの着物を纏った演者による日本舞踊が披露されました。
二種類の弓を用いた演奏を披露する新井 貴盛さん(大学院音楽研究科修了)
ドビュッシー《月の光》の演奏に合わせて舞う飯森詩織さん(大学院音楽研究科)
「づーま」とは音楽学部邦楽科日本舞踊専攻第9期生から代々受け継がれている遊郭をテーマとしたパフォーマンスです。毎年4年生を中心に脚本から演出まで、すべてを手掛けています。2019年までは毎年、藝祭の野外ステージにてパフォーマンスを行っていましたが、昨年に引き続き藝大アーツイン丸の内での上演となりました。
指一本だけで誰でも伴奏つきの演奏が可能になる「だれでもピアノ?」のワークショップが行われ、参加者からは、「すごく楽しい」「気持ちが高ぶって来る」「ピアノをやってみたいという気持ちになった」などの感想が寄せられました。
東京藝術大学 COI拠点インクルーシブアーツ研究グループは、障がいの有無にかかわらず音楽と感動を共有できる豊かな社会をめざして研究を行っています。「だれでもピアノ?」は、ある女の子との出会いがきっかけで生まれました。その女の子は手足が不自由でしたが、「ショパンの《ノクターン》を弾きたい」という夢を持ち、一本指でピアノを弾いていました。その夢を叶えるために、1本指でメロディを演奏すると、その1本指の演奏に合わせて自動で伴奏とペダルが追従し、誰でもピアニストになった気分が味わえる魔法のピアノということで開発されました。
開発のきっかけを作った宇佐美希和さん
ワークショップの様子
出演:飯森詩織(日本舞踊)大学院音楽研究科修士2年、前田朱音(Pf.)音楽学部作曲科3年、吉田薫子(Vn.)音楽学部器楽科3年、箱根希美(舞台美術)美術学部デザイン科2年
各科の学生が協力して企画?制作をした、東山魁夷の絵画《緑響く》の舞踊作品が披露されました。《緑響く》には蓼科高原の御射鹿池と、池畔を歩く白い馬が描かれています。白い馬に扮した演者と風景を想像させる音楽、そして舞台美術によって、絵画の世界がいきいきと立ち現れました。
出演:
葛西 康仁(アップリカ育児研究所代表取締役社長)、青木 宏文(名古屋大学未来社会創造機構特任教授)、小泉 英明(公益社団法人日本工学アカデミー栄誉フェロー)、
伊東 順二(東京藝術大学 COI拠点特任教授)、井上岳(同特任助手)、神楽岡 久美(同特任助手)
コンサート演奏者:
サイトウ モモ(Vn.)、甲斐 朝花(Vn.)、村松 ハンナ(Va.)、森下 邑里杏(Vc.)、鈴木 美良乃(Fl.)
笠原 雅子(尺八)、臼井 佑香(Hr.)、夛賀 さくら(Hp.)、安藤 巴(Vib.)
母学では、乳幼児教育における感性教育についての学術的?臨床的研究を通じて、新しい感性教育領域の可能性を追求するため、啓蒙的なシンポジウム「母学会議」を平成28年から毎年開催しています。
今年度は「母学とAIゆりかご」をテーマに、今後世界に必要なゆりかごはどのようなものか、各専門からの視点を通してディスカッションを行いました。
(左から)小泉 英明フェロー、青木 宏文教授、葛西 康仁社長
出演:大﨑 洋(吉本興業HD 代表取締役会長)、伊東 順二(東京藝術大学 COI拠点特任教授)
トミモとあきな(大学院美術研究科先端芸術表現専攻)、烏田 鈴渚(美術学部先端芸術表現科)
「第1回地球をおもろくする会」と題し、吉本興業HDと東京藝術大学の取組みについてディスカッションが行われました。また、学生による作品のプレゼンテーションもあり、大﨑会長から率直かつ温かいコメントをいただきました。
東京藝術大学COI拠点文化外交?アートビジネスグループと吉本興業HDは、コロナ後の感性社会を見据えた新しい時代様式に即した地方創生と国際交流、さらにデジタル?ネットワーク社会に対応した多様なコンテンツづくりおよびメディア形成において、2020年に「日本と地球をおもろくする会」を設立し、双方のリソースを融合させながら協働することに合意しています。
(左から)トミモとあきなさん、烏田 鈴渚さん、大﨑会長、伊東特任教授
出演:川嶋志乃舞 solo project CHiLi GiRL(三味線)、和久井沙良(Key.)
常盤橋タワー内の商業ゾーン 「TOKYO TORCH Terrace」に隣接する、 「TOKYO TORCH Park」にて、国内外で注目を集める三味線プレイヤー川嶋 志乃舞さんと、 昨年楽理科を卒業し、BLUE NOTE TOKYOなどでも活躍するkey. 和久井 沙良さんが協演しました。
雨で開始が遅れましたが演奏が始まると晴れ間が見え、「青空」をテーマにした即興演奏や、11月5日リリース予定の新曲「壊れちゃう予感がするの feat.和久井沙良」など、息の合ったライブパフォーマンスが披露されました。
伊東特任教授より、今回から「入札」という方法を取り入れた経緯についての説明があり、THE CLUB マネージングディレクターの山下 有佳子氏による講義では、オークションの現状や世界のアート市場についても解説していただきました。その後、出展作品のギャラリーツアーをライブ配信し、オンラインおよび会場での入札が行われました。